解説・要約|第8章 ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』

時間がない人のために3行でまとめると

・一般の投資家は安値水準が到来するまで買い付けを控えるべきという考えは誤り
・しっかりした価値基準に照らして一般株価水準が高すぎる場合を除いて、資産があるならば株式を買い付けることが賢明
・投資を行うならば、会社の本来の価値を見極め、株価が割安となっているものを探す

賢明なる投資家 第8章 を要約

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みなさんこんにちは。

今回は”金融の名著”として知られるベンジャミン・グレアム:『賢明なる投資家』から第8章「投資家と株式市場の変動」についてまとめてみたいと思います。

 

ところでなんで第8章から??

それは世界一の投資家として知られる、ウォーレン・バフェット氏が『賢明なる投資家』の序文でこのように述べているからです。

 

グレアムが唱えている行動やビジネス原則に従えば–また、第8章と第20章で述べられている貴重な教えに細心の注意をもって臨むことができれば–投資でひどい目に遭うことはないでしょう(これは、みなさんの予想よりもかなり良い結果を意味します)。

『賢明なる投資家』p13序文より ウォーレン・バフェットの言葉 

ウォーレン・バフェットについては別の機会に解説していきたいと思いますが、

とにかく投資家の中でも、とっても「神ってる」人なのです。

そして「神ってる」バフェットさんの師匠とも言える存在がこれから解説する『賢明なる投資家』の著者ベンジャミン・グレアム氏なのです。

 

ベンジャミン・グレアムとは!?

第8章の解説の前に、著者のベンジャミン・グレアム氏について少しだけ触れたいと思います。

グレアム氏は1894年 ロンドンに生まれ、アメリカの大学を卒業後、証券会社に入社します。

その後、自身の会社を立ち上げ”バリュー投資”を考案。投資家の中でも過去最大の影響力を持っていると言われ、その著書『証券分析』『賢明なる投資家』は現在でも読み継がれている不朽の名作です。

上で挙げた”バリュー投資”はバフェット氏も実践し、彼を世界一の資産家へとしていきます。

 

第8章 「投資家と株式市場の変動」 について

では第8章について解説していきます。

この章としては章題にもある通り、変動する株式市場の相場(強気相場・弱気相場)の中で賢明なる投資家としての投資手法を提案しています。

 

周期的に訪れる株価の大きな揺れから利益を得るには?

投資に適した優良銘柄であっても、相場の影響を受け、大きく株価が変動することがあります。

そのような中でも利益を得る方法として二つの方法が考えられます。その手法とはタイミング手法とプライミング手法です。

・タイミング手法
市場の動きを予想して、今後株価が上向きそうな時には買い付け(保有を続け)て、下げる見通しの時には売る(買い控える)
・プライミング手法
本来の価値以下の値が付いている時に買い、実質価値以上に値が上がったら売ること

グレアム氏はこの中でもプライミング手法を行えば満足のいく結果を生み出し、タイミング手法を行えば”投資家”から”投機家”に成り下がるとしています。

 

この”プライミング手法”こそ会社の本来の価値、つまりバリューを見極め割安な価格で買いつけるバリュー投資なのです。

 

しかし、株式の適正な価値を推定するにはどのようにすれば良いのでしょうか?

そのヒントとして、『賢明なる投資家』と同じく金融の名著として知られるバートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』から証券アナリストが株式の価値を推定するための”株価評価の4つの要素から”株価評価の第一の要素 期待成長率”について紹介します。

期待成長率

当たり前のような話ですが、企業が今後も成長していくだろうと予想される場合、投資家は株式に対して高い価格を支払うはずです。

しかし、予想される成長率よりも市場がまだそれに気づかず株価が割安だったら・・証券アナリストはそのような銘柄を狙っています。

 

具体的には企業の”期待成長率”と”株価収益率”から株価が割安かどうかを判定しています。

例えば、投資を考えている銘柄の期待成長率が8.5%と予想されているとします。

そして、証券会社が予想する多数の銘柄の期待成長率の中から期待成長率が同じ銘柄を探します。例えばA社とすると、次にA社の”株価収益率”に注目します。

A社の株価収益率が18倍だった場合、投資を考えている銘柄の株価収益率が仮に20倍だった場合、その銘柄はやめてさらに株価収益率が低い銘柄を探すことになり、逆にA社の株価収益率より低ければお買い得というわけです。

 

安きを買い、高きを売る

一般的に相場全体が弱気相場の時に買い、大きな上昇の後で売ることは投資の基本となっています。(弱気相場の例としてはリーマンショック後の株式市場、強気相場はアベノミクスによる株式市場があげられます)

しかし、グレアム氏はこのような投資方針で利益を上げられるという確実性は存在しないと述べています。

それは、ある程度の規則性を持った相場のパターンはもはや存在せず、かつて確実とされた株価変動の危険なシグナルも役には立たなくなったということです。

 

グレアム氏の勧める投資方針は、株の価値を判断基準に据え、株価の水準に応じて本人の意思でポートフォリオの株式と債券の比率を変える心づもりをしておくことである。と述べています。

業績評価と株式市場評価

グレアム氏は”株価は往々にしてバランスシート上の価値とはかけ離れたものになる”。と書いています。

 

『賢明なる投資家』ではアメリカの食料品チェーンストアであるA&P社を例に挙げ解説しています。

この会社は世界一ではないにせよ、米国一の規模を誇る小売企業であり、長年にわたり素晴らしい収益を上げていました。

しかし、この企業に対して株式市場はその流動資産以下にしか評価していませんでした。

(経済全般が悲惨な状況にあっても同社の収益は以前と変わらないものの、株価は$494→$36という安値をつけました)

その要因は

第一:チェーンストアに対して特別税が課されるという噂

第二:前年に純利益が減少した

第三:相場全体が低迷していた

ことが挙げられました。しかし、いずれの要因も一時的なものに過ぎず同社はその後、株価を大きく回復していきます。

 

ここで得られるポイントは、株式市場は誤った方向に大きく触れることがあるということです。

 

日本の市場でも”ヤクルト(2267)”がその例となります。

ヤクルトは1990年代には、バブル期の財テク失敗の整理に追われるという低迷期がありました、

その後、本業のヤクルト事業に集中して大復活を遂げ、株価も10倍以上になりました。

このように強力な定番商品を持っていたり、健全な財務状況であっても株価が低迷するスランプに陥るときがあります。

このような状況が大きな投資のチャンスとなるのです。

 

株式市場は誤った方向に大きく触れることがある

 

まとめ

・一般の投資家は安値水準が到来するまで買い付けを控えるべきという考えは誤り(そのためには長期間待たなければいけない可能性かあり、投資機会を逃す)

・しっかりした価値基準に照らして一般株価水準が高すぎる場合を除いて、資産があるならば株式を買い付けることが賢明

・投資を行うならば、会社の本来の価値を見極め、株価が割安となっているものを探す

そして最後に、投資家が大きな間違いを引き起こさないようにと以下のように述べています。

「株価が大幅に上昇したすぐ後には絶対に株を買ってはならない。また、大幅に下落したすぐ後には絶対に売ってはならない」

『賢明なる投資家』p193 第8章 投資家と株式市場の変動より 

賢明なる投資家第8章のまとめ

 

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